雁須磨子『ロジックツリー』上下

 

 

 

すごく良かった。思わず記事として感想を残したいと思うほどに。

すまこ先生の漫画を初めて読んでから約20年は経っていることにめちゃくちゃ驚いたが、漫画の雰囲気に大きな変化がないのってすごいなぁ。その時々で絵柄や話の展開に共通する傾向はあっても全体的にブレが少ない。

でもマンネリやワンパターンと感じないのは登場人物の見方が丁度いいからだろうな。自分のキャラ〜❤️というのではなく、割と引いた眼差しでもって愛のある描き方をされてると感じる。私は作家さんでたまにいる、特定の自キャラに対して盲目的に入れ込むタイプが苦手で年取る毎にそんな雰囲気のものから遠ざかるようになった。すまこ先生はそこら辺昔からあまり変わらないスタンスのような気がするのでずっと好きなのかもな。

 

ロジックツリーは大家族の中の一人が主人公ではあるけれど他の兄弟姉妹たちの物語にも焦点が当たる。この長男の話がすごく良かった!『うそつきあくま』で良いなぁと感じた雰囲気がこの長男の物語にもあって嬉しかったね。すまこ先生のBL漫画は先生の男女ものと比べると割とふわふわ可愛いものが多い印象だったのに『うそつきあくま』では可愛くはない、切実な人たちの恋愛が描かれてて、こういう風に描かれるんだなぁと思ったけれどその要素があったように思う。

長男が言ってた、好きだし嫌いなんだよというのが読み終えた後も胸に残る。本当に欲しいもの・人に対しては臆病になってしまって結果遠回りしている恋愛物語はいつになっても好きだなぁと読んでてつくづく思った。